他の別の何か

2006年9月10日
久しぶりに母のお見舞いに行ってきた。思えばここ数週間お見舞いに行っていなかった。

 
母の病状は悪化していた。以前はお見舞いに行くと母は電動ベッドを起こして僕らと話をしていたが、もう起き上がることもしなくなった。
加えて母は僕らとまともに会話をすることすらもう出来なくなっていた。
寝ていたかと思うとふと目を覚まし、要領の得ない事をうわ言のように繰り返し呟く母。一緒に来ていた父が洟をすすりながら母の相手をしていた。僕はそんな様子を見て目頭が熱くなるのを感じながら認知症の老人の相手をする家族の事を思った。

「僕の目の前に居るのは母の姿をした別の何かなのだ」
そう思うことによって僕は自分を誤魔化そうと試みた。効果は定かではない。

途中病室を出て1本煙草を吸った。吸い込む煙はいつもと違う味がした。

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