ISBN:4163242104 単行本 重松 清 文藝春秋 2005/08/05 ¥1,500

相互してくださっているみぃ様のレビューを読んでこれは読むしかないと思い普段買わないハードカバーの本を買いました。
教科書以外のハードカバーの本を買ったのなんていつぶりだろう。もしかしたら初めてのことかもしれない。

 
この小説は短編集で各話に末期がんを患っている人が登場する。
時に語り部の同級生が、時に語り部の母親が、時に語り部自信が末期がん患者として描かれている。
全然関係のない人たちが末期がんという単語によって最終話で一つに繋がると言う話の展開はあまりにも小説的すぎてあきれてしまう面もあるが、それでも僕はこの本を読んで泣いてしまった。嗚咽すらした。一体何度泣いたことだろう。電車の中で僕は声を押し殺して涙を流した。

僕にこの本を評価することはできない。母のことがあるから。
一つ言えることは現実はこんな綺麗事だけじゃあ済まされないということだけだ。

この本を読むことができてよかったと思いたい。

コメント

みぃ
みぃ
2006年5月14日12:39

複雑な心境をお察しします。私にはその日がおとずれてしまったから、幾分冷静に読めたのだと思います。過去のことは美化されて映るものです。現実は、おっしゃるとおり、この小説のように綺麗事だけじゃ済まされません。むしろ、綺麗事なんてほとんどありません。悲しみに暮れている暇もない程あわただしく時は流れ、その残酷さに何度も涙を流しました。しかし、美しいストーリーと現実を後になって重ね合わせることは、無駄ではないと思います。現実はクールなものですが、年を経るごとに、記憶の中で過去のことが洗練されていくと、傷も癒えてくると思うからです。いずれにしても、おーがい様が読むには時期尚早だったのかもしれません。なぜなら、その日がきた私が読んでも早すぎると思ったからです。父が亡くなって3ヶ月経ちました。転勤によって環境が変わったこともあり、段々現実味がなくなってきています。前へ進むためには、悲しみに暮れてばかりもいられないし、だからといって完全に忘れ去ることはできないので、時折思い出して涙を流すことが、今の私にできることなのだと思います。おーがい様が、いつかこの本を読むことができてよかったと思える日がくることをお祈りしています。

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